オークションと聞くと
オークション、と聞いて一番初めに思い浮かぶのは、その昔テレビで放送されていたとあるイギリスのアンティーク鑑定番組だったりする。イギリスの一般家庭の皆さんが「こいつは!」と思う代物を持ち寄り、その道のプロが値段を鑑定すると言うもの。これがまたとんでもない高値がいい確率で出る番組で、鑑定士がよく「オークションに出されますか?」とか「保険を掛けて大事になさってください。」などとコメントしていた。子供だった私はこの番組でオークションと言うものの存在を知った。
後にひょんなことから私はイギリスに渡り数年過ごすことになったのだが、イギリスにはアンティークの鑑定番組やオークション番組が山ほどあるのに驚いた。毎日必ずどこかのチャンネルでオークション番組や鑑定番組が放送されていると言っても過言ではない。取引される品物も値段もピンキリで、目玉が飛び出すような高額のものからガラクタ同然の二束三文、下手したら売れない、なんてものまでさまざまだった。
それでも「オークション」という言葉に伴って私の頭の中に浮かぶ光景は、会場があって、沢山の人が札を持って座っていて、その前でオークショナーが品物を競りにかけてハンマーを振り下ろす、という古きよき時代から続く競売の光景だった。だから当然取引される品物も歴史なり逸話なり曰くなりがついていて、私なんかが一生働いても手に入らない値段で競り落とされるのだ。
だがしかし、イギリスのオークション番組の殆どは、上流階級の皆さんが「おほほほほ」とお上品に笑いながら超高額取引をするものではなく、普通の人が近所の蚤の市を突撃して売れそうな物を物色し、それを試しに競売会場に持って行ってオークションに掛けてみる、と言う一攫千金体当たり的な趣向のものだった。
当然ながらよほどのことがない限り大した値段で売れないわけで、蚤の市で散々値切って来たにも関わらず、仕入れ値が利益を下回り赤字で終わる回が頻繁にあった。出演者はゲーム感覚で参加しているので、「赤字!あはははは!情けねー!」とやけっぱちに陽気なコメントを残して番組は終了するのだった。
そんなオークションをテレビで何度も見ていたら、さすがの私の頭の中にも「イギリス人の体当たりオークション。蚤の市から値切ってきたもので一攫千金を狙え!」というはっちゃけたオークションのイメージが出来上がってしまった。そして一般イギリス人が「オークション」という単語を聞くとき、必ずしも「古きよき時代の競売」を思い浮かべていないことを悟った。
ある日ふと思い出して、イギリス人の友達に日本で見た番組の事を話したら「うわははは!そんなのが日本で放送されてるのか!イギリス人がガラクタ売るの見て何が面白いんだ?」と大笑いされた。曰く、「オークションとは気が向いたやつがガラクタを売って儲けようとする場」だそうだ。他の友人にも聞いてみたが答えは似たり寄ったりだった。
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